良くお問合せをいただくもののひとつに「認知行動療法を試してみたいのですが,効果はあるのでしょうか?」というものがあります。認知行動療法は本ホームページでもご紹介しましたが,認知的側面と行動的側面の両者にアプローチするものです。さまざまな技法がありますが,認知と行動,そして私たちが生活する環境は密接に関係していて,これらの相互関係を読み解き,問題解決を図るというものです(非常にざっくりしたご説明ですが,だいたいこういう感じです)。たとえば,「いつも悲観的な考え方をしてしまい,外に出ることができず,誰かと話をする場面ではパニックになってしまう」という状態があったとしましょう。「悲観的な考え方」は認知,「外に出る」ことは行動,「誰かと話をする場面」は環境です。全てが密接に関係し合って,パニックになってしまうかも知れない!という考えを生んでいます。そこで,どこにアプローチするのが効果的でしょうか?ここで,例えば「悲観的な考え方」にアプローチをすれば認知的な側面へのアプローチ(認知療法の適用)となり,「外に出る」にアプローチをすれば行動的な側面へのアプローチ(行動療法の適用)となります。そして,何らかの成功体験(「今日は少し自分が楽になる考え方を使うことができたな」や「おぉ,外出できた」など)を繰り返すことで,その考え方や行動が定着する,すなわち改善に至るということになります。さて,冒頭に書いたお問合せ「効果はあるのでしょうか?」についてお答えすると,「たくさんの研究が蓄積され,効果が実証されている」「効果を感じられる人もいる」ということになるでしょう。効果が実証されていれば良いというものではありませんが,方法論も確立されており,安全性が高い方法とも言えます。また,これはどのような心理療法でもそうですが,向き不向きがあることも確かです。もしもご自身の考え方や行動が,ご自身の困りごとの種となっているのであれば,ぜひ試してみてください。